千年の時空を越えて
最悪の目覚め
フッと体が軽くなり、目の前が明るくなった。
うっすら、目を開けると、目の前に、知らない男が、顔をのぞき込んでいた。
雪「っ!」
ビックリして、グーパンチを男の頬に入れた。
「っぐ・・・。」
男はひっくり返ったがすぐに体制を立て直し、
「テメェ・・・。」
と、呟き、胸ぐらを掴まれ、座らされ、刀を抜いて、首もとに当ててきた。
ようやく、今の状況を理解したが、時、既に遅し。
終わりだ。
そう思った時ーーー
「ちょっと、やめて下さい。土方さん。目が覚めて、いきなりそんな怖い顔の人がいたら、誰でも、殴りたくなりますって。」
と、笑いながら、後ろに座る男が、止めに入ってくれた。
チッと舌打ちをして、乱暴に私の胸ぐらを放した。
止めに入ってくれた男が、
「驚かせてすみません。」
と謝ってきたが、視線は、私の顔・・・でなく、下見てる?
ん?私も、男の視線を辿ると・・・。
「!!!」
さっきの胸ぐらを放された時に、片方の肩から、着物がずり落ちて、胸が見えかけていた。
とっさに、その男にも殴りかかったが、ヒョイとよけられ、前のめりになったとっころをその男に、抱き止められていた。
「もう、大丈夫そうですね?」
と、笑いながら、ぎゅーっと抱きしめられる。
雪「なっ!ちょっと、放して。」
と、身をよじると、耳に唇をあてて、
「いいんですか?さっきので、着物、脱げちゃってますよ?」
と囁かれた。
「!!!」
慌てて、着物の合わせをギュッと掴む。
すると、男は、私を、抱きしめたまま、首筋や、肩に、唇を這わせている。
雪「!?」
もう一度、殴ろうとしたその時、
男は、「汗も、かいてるようですので、顔と、体、綺麗にしてからのお話しでもいいですか?」
と、さっき、私が、殴った、土方という男に聞いた。
土方と呼ばれた男が、ため息をつき
「仕方ねぇな」
と、答えると、
男「その化粧はどうしたら落ちますか?」
雪「あ・・・。荷物の中に、化粧落としが入ってます。」
男「では、それを僕が、取るので教えてください。」
雪「これです。」
と教えると、それを男は、手にして、着替えはありますか?と聞いてきた。
私が、首を横に振ると
「では、行きましょう。」と、男は、何かを用意して、私の手を引いて部屋を出た。