千年の時空を越えて
急いで、メイクを落とし、体を綺麗に拭いた。


さっきの男に、抱きしめられたときの匂い、あの洞窟の安らぎの匂いだ。と意識が無くなる前のことを、思い出していると、何処からか、話し声が、聞こえてきた。


「おい。ここの女中が皆、辞めたらしいじゃないか!」


「いや。一人は、残ってるらしい。」


「ここは、女中の仕事の他に、男の相手もさせられてるらしい。」


「まぁ、人斬り集団だからなぁ」


「でも、皆、辞めたのは最近らしいぞ…」


そんな声が聞こえた。


これは、使える。多分、最近、辞めたってことは、最近、<何かそういうこと>があったということ。


多分、これから、色々、聞かれることのシュミレーションをしていると、


男「もう、終わりましたか?」


と、男が、後ろで、声をかけてきた。


雪「あ、はい」


と、振り向いて答えると、男が、固まっている。


何?という顔で首を傾けると、


男「綺麗な顔してるんですね。いや、初めて見たとき、おいわさんかと思って、屯所中、大騒ぎだったんです。」


と男は言う。


そっか、毒で、苦しんで、汗かいたし、顔、きっとえらいことになってたんだろうな。


それから、男は、自分の着物を、貸してくれた。


それに、着替えて、大部屋に案内された。


気合いを、少し入れる。


だって、本当の事は話せない。


私は、この時代の人間ではないし、特殊部隊。


それすら隠密になっている。未来の時代でも特殊部隊は秘密。


私の部署は、『時空警察官雑用部署』ということになっている。本名も、隠して、任務に当たる。


さっき得た情報をフル活用して、少しだけ、怪しいって思わせる。


取りあえず、これが、最初のポイント。


中に、入ると、さっきの胸ぐらを掴んできた男の他に10人ほど別の男たちがいた。






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