千年の時空を越えて
しかも、俺が、首謀者と勘違いしてるし!
名前を名乗ると、いきなり、殺気が無くなり、甘い空気を漂わせてきた。
壁をドンってされて、顔が、近づき、
接吻か?・・・。そう思った時に、耳元に、彼女の息遣いを感じて胸がドキドキしてきた。
すると、彼女が言った。
「土方様に報告するんですよね?」
しかも、土方さんからの調査ってバレてるし!なんやこの女。やっぱり、普通の娘やない。
お願いと拒否のやり取りしてると、彼女の鎖骨が視野に入る。白くて、キレイ。その鎖骨に、釘付けになる。
その俺の視線に、彼女は、気付いて、俺の顔を、鎖骨にそっと誘導してきた。
さっきまで、触れたいと、思っていたものに自分の唇が触れている事に、任務中を忘れて、夢中になってしもうた。
そしたら、腰辺りに、一瞬、激痛が走った。
「グフッ。何しとん?」
って言おうと思ったら、また、壁ドンッてしてきた。
(それ、ドキドキするわ)
「お願いがあるんです」ってそんな可愛い顔せんとってー。<敵かもしれん奴>の言うことなんか聞かんで!俺は、諾士取調兼監察方っちゅうお役目に、誇りを持ってるんやから!そしたら彼女が
「土方様に言いますよ?」
って脅してきた。何を?
「すぐに助けなかったこと」俺が、私的に、少し、様子見してた事も、バレてるし!しかも、俺が、鎖骨に、跡付けた事まで!・・・。でも、男に襲われたんやから、あいつ等に・・。
「山崎様にされたって言います!」
「う゛・・・。」
あかん。この娘、ただもんやないで!1日足らずで、土方さんの事まで・・・。
さすが、土方さん。そしてすみません。俺は、この子に完敗です。
しかもコイツ等を倒したのを、俺の功績?なんで?これ、どう見ても、お手柄やん。ってことは、戦闘出来るって知られたらあかんってことか。忍か間者やから?
何も言えない俺の態度を、肯定と彼女は捉え、ありがとうと言ってきた。
俺、なんもしてへんし。そう思ってたら、
頬に、彼女の柔らかい唇の感触が触れた。
そして、耳元で、「ほんまにありがとう。」って囁いてきた。
そして、この人達、長州の間者みたいやから、調べてって。
ありがとうを耳元で囁かれたんと頬に彼女の唇の感触がまだ残ってて、動かれへん。
顔が熱いわ。ドキドキする。
彼女が去った後も、しばらく、呆然と、立ち尽くしていた。
あ!土方さんへの報告、どないしょー!彼女との約束と、鬼副長のお咎め・・・。天秤にかけられへんし!どっちみち、怒られるー!
どないすれば、ええねん!!!!
胸の甘い疼きと、鬼副長の顔を浮かべて、しばし、頭を抱える山崎であった。