千年の時空を越えて
部屋を出てきた、おいわの腕を掴んだ。
「ちょっと、来い。」
そう言って、俺の部屋へ、連れて行こうとすると、
「話なら、縁側でしたいです。」
と、言う。
「何、言ってる。」
と無理やり、部屋に入れようとすると、
「大声出しますよ。明らかに、土方様が、不利です。」
と、さっき、山崎が付けた跡を指差す。
仕方なく、縁側に腰をかけた。
雪「綺麗な月ですね~。それに、星も。」
土「そんなもん、どうでもいいんだよ。」
雪「風情がないですねぇ。無粋ですよ。こんな、綺麗な夜空なのに。」
土「お前、何者だ?間者ならすぐにたたっ斬る。」
雪「土方様。私は、間者ではありません。確かに、土方様から見ると、怪しいのはわかります。でも、間者ではありません。信じて頂けませんか?」
土「じゃあ、お前は、何者だ?」
雪「それは、言えません。でも、これだけは、信じてください。私は、あなた達が、不利になるような事は、決して致しません。」
土「信じられねぇな。」
雪「でしょうね。でも、この屋敷の中だったとはいえ、助けて頂いたので、その恩義はお返ししたいです。仇になるような事はしません。」
と、こちらを、真剣に、見つめてきた。その目に嘘はないと思う。拷問にかけるか?
この限りなくクロの女をどうすべきか悩んでいた。