千年の時空を越えて
恋敵とジュリエット~沖田Side~

外が少し騒がしいのが気になって、襖を開けて、周りを見ると、土方さんがおいわさんの腕を掴んで部屋に向かっている。


総「え?なんで?土方さん?まさか、彼女を、連れ込むんじゃ・・・。」


嫌な予感しかしなくて、そっと、後をついて行く。


柱の影に身を隠し、様子を窺うと、


「何者だ?間者ならたたっ斬る。」


という話し声が聞こえた。


彼女は、真剣な声で、違うと、否定していた。


また、土方さんも、口では、斬ると言っているが、そんな彼女に刃を向ける気配がないのを確認して、その場を、離れた。


多分、何かあったんだ。


屯所をうろうろしていると、離れの女中の部屋から灯りが漏れていた。その隙間から、見知った顔があった。急いで、そちらに向かい声をかけた。


総「ねぇ、丞ちゃん。何かあったの?」


よく見ると、丞ちゃんは放心状態になってて、足元に、男達が転がっている。


総「どうしたの?それ。」


丞「あぁ。総司か・・・。」


総「それ、もしかして、女中さんが辞めた事との関係?」


丞「正解・・。なぁ・・・。おいわちゃんの事、総司わかっとったんやろ?」


総「・・・。」


僕が何も言わない事を、肯定と思ったのか、丞ちゃんは、男達の持ち物を探り、締め上げながら言った。


丞「これ、あの子がやりおった・・・。しかも、隠れてた俺も、見つけて。」


総「え?・・・。丞ちゃんが見つかったの?」


丞「あぁ。めっちゃ、怖かったで。アカン思ったわ。」


と、苦笑いしながら、天井を指差した。見ると、刀が何本も天井に突き刺さっていた。


総「すごいね。いっそのこと刺さってみたら良かったのに。でも、彼女が目を覚ましたとき、とっさに、土方さんを殴ったんだ。凄い速さで。その後、僕も、殴られそうになってね。普通の娘が、あんな事出来るとは、思えないなって・・・。」


すると、男たちの持ち物を探ってた、丞ちゃんが「あ」と声を上げる。


総「どうしたの?」


丞「これ。」


総「え?・・・。コレって・・・。」


男の一人が持っていたのは、おいわさんそっくりの人が描かれた絵だった。絵というより、本人がここにいるようだ。


丞「裏切りか?・・・。それとも狙われてる?そういやあの子、コイツ等、長州の間者やって言ってた。」


総「じゃあ、おいわさんは・・・。命の危険があるんじゃ・・・。」


丞「はぁ。・・・恋敵だけでも嫌やのに、オマケに敵かもって辛すぎるわ。」


とチラッと、僕を見てくる。


総「え?恋敵ってもしかして丞ちゃんも・・・。」


丞「<も>ってことは、やっぱり、総司もかいな。」


二人して、目の前のライバルとおいわさんがやはり敵かもだという共通認識にため息をついた。







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