千年の時空を越えて
おいわさんの腕を引っ張り井戸で水を汲み上げ、手ぬぐいに浸して、部屋に入る。布団の上に座らせて、鎖骨の赤い跡を、さっき濡らした手ぬぐいできれいに拭いた。
雪「沖田様?」
丞ちゃんに触れられた痕跡を消したいと思う僕のこの行動の意味はわかっていないようだった。
総「汗。かいてるみたいだったし。寝間着貸してあげるから着替えて下さい。」
着替えを済まし布団に寝かせる。悪いとまた押し問答になったから思い切って、僕も、布団に潜る。
布団の中で、彼女を、抱きしめると、
雪「沖田様の匂い、凄く落ち着きます。」
と僕の胸に顔を当ててきた。多分、僕のこのドキドキ聞こえてるんだろうなぁと思っていたら、彼女が続けて言った。
雪「私がここに来た時、助けてくれてありがとうございました。」
腕の中の彼女を、見ると、上目遣いで、少し微笑んでこちらをみていた。
総「助けてなんかないですよ。お化け騒動になったし?」
雪「いいえ。本当なら、その場で、斬られてもおかしくありませんでした。だから、ありがとうございました。」
とニコッとされる。それが、可愛くて、またぎゅっと、力を入れて抱きしめた。