千年の時空を越えて
総「聞きたい事がある。君は・・・。間者?」
そう訊ねると、彼女は少し沈黙し、しっかりした、目線で僕を見て言った。
雪「・・・。違います。いつか・・・。いえ。すみません・・・。ただ、これだけは、信じて下さい。土方様にも、言いましたが、私は、あなた様方が不利になるような事は、決して致しません。皆様には、命を救って頂いたと思っています。このご恩、決して仇になるような事は致しません。」
総「そう・・・。」
僕になら本当の事を言ってくれるのでは、と甘い期待をしていたが違ったみたいだ。少し心が、苦しくて声が暗くなっていたようだ。そうすると彼女が、
雪「沖田様・・・。指切りげんまん。」
そう言うと、彼女は少し笑顔を見せ、小指を差し出してきた。
僕も、誘われるように、指を絡める。
雪「私が沖田様の立場だと、信じられません。でも、私は、絶対、裏切りませんので。」
総「うーん・・・。しかしですねぇ・・・。」
雪「無理ですかねぇ?では、牢にでも放り込んで下さい。」
総「では、こうします。」
雪「え?何をすっ・・・。」
彼女の言葉を飲み込むように、僕は、彼女に接吻した。
今日の僕は、変だ。
そして、僕は、彼女に深く口づけし、首や耳にも唇を這わせた。
彼女から、甘い声が漏れて、その声も、飲み込んでしまいたくなる。
丞ちゃんに付けられたら赤い跡の上を、何度も、吸って口づけた。
そして、寝間着の帯を解こうとした時に、手をぐっと止められた。
雪「ダメです・・・。」
ウルウルした目で、そんな事を言われても、止めれるわけがなく、また、口づけしようとしたら、フイっと横を、向かれる。首筋に唇が当たり、這わせていると、両頬に、手を添えられて止められた。
雪「沖田様・・・。あなた様は、私を間者かもしれないと疑っていらっしゃいます。そして、ここにいらっしゃる方は皆さん、疑ってます。そんな私に、こんな事を、してはいけません。雰囲気に飲まれて、こんな事しないで下さい。」
総「偉そうな事を言わないでいただこうか!」
受け入れてもらえない苛立ちに声を荒げてしまった。
そうすると、彼女は目を瞑り一つ深呼吸をして、目を開く。物凄く冷たい眼をしている。
雪「だったら、大声出しますよ?」
総「へぇ・・・。それは、困りますねぇ。じゃあその口、塞ぎましょうか。」
雪「私の知ってる沖田 総司様は、純粋な心を持ち、女遊びなどしない優しいお方だと。そして剣術の天才でいらっしゃる・・・。そんな、お方が、嫌がるおなごに無理やり・・・。う゛・・・ひっく。」
泣いてる様子。
総「はぁ・・・。興が冷めました。でも、なぜ、あなたは、僕のことを、知っているんですか?それに言葉遣いも変ですし・・・。」
雪「有名ですから。」
悪名か・・・。
総「こちらへどうぞ。また狼になるかもですけど♪」
そう言って、彼女を、抱きしめて眠った。