イジメ返し ~復讐の連鎖・はじまり~

【千代:あのマンガ面白くなくね~?】


【明日香:面白いよ。ねぇ、ヒカリ?】


【愛海:ねぇ、ヒカリ。返事してよー。みてるんでしょ?】


見てるよ。


だったら、何だよ。


哲を盗んでいたのは母だけじゃなかった。


『ヒカリの友達にお金持ちの子がいたでしょ?愛海ちゃん……だっけ?あの子に何か食べさせてもらったら?』


ずっとおかしいと思っていた。


母が愛海の名前を知っているわけがないんだから。


もちろんお金持ちだってことも。


だって、母に愛海の話をしたことはない。


母が愛海を知ったきっかけは一つ。


哲だ。哲が母に愛海の話をしたとしか考えられない。


けれど、哲は愛海がお金持ちだと知らなかった。



『ヒカリの友達?超美人じゃん』


愛海を褒めた哲にヤキモチを妬いたあたしは愛海がお金持ちであると伝えなかった。


悔しかったから。


数回3人で食事に言ったけれど、愛海の口からもそれらしい言葉は出てこなかった。


それなのに、哲は愛海がお金持ちだと知っていた。


二人があたしに隠れてどこかで会っていたとしてもおかしくはない。


それに……


玄関先に置いてある真新しいあの靴も、ヴィンテージのジーンズも……まさに愛海の好みそうなものばかりだった。


愛海は……


あたしを裏切っていた。



今更知ったところでどうこうする力はあたしには残っていない。


あのクソ女。マジで死ね。友達ぶってるくせに、人の彼氏にちょっかい出しやがって。


心の中で口汚い言葉で愛海をののしってやることしかできない。



「……――死ね」


あたしはポツリと呟いて最後のメッセージを送った。
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