イジメ返し ~復讐の連鎖・はじまり~
放課後、クレープを食べに行っても、ヒカリは絶対に食べなかった。
黙ってあたし達3人が食べている姿を見つめているだけ。
『あたし、最近太って自制してるからみんなは思いっきり食べてよ~』
笑ってそう言っていたけれど、瞳はギラつき、食べ物への執着を露わにしていた。
『もうお腹いっぱいだから、よかったらこれ食べてよ。これぐらいじゃ太らないでしょ?』
お腹がいっぱいになったふりをしてヒカリにあげると、ヒカリは『いいの……?』と少し遠慮しながら受け取った。
そして、美味しそうにクレープをほうばった。
分かっていたのに、あたしも愛海も千代も……
誰一人としてヒカリを助けることができなかった。
いや、違う。助けようとしなかった……の間違いかもしれない。
知っていて、見て見ぬふりをしていた。
端から見たら、あたし達4人は仲が良いように見えるかもしれない。
けれど、どこか普通の友達とは違う気がする。
みんなどこかお互いをけん制し合い、本音を言わず、相手の様子をうかがっていた。
それはあたしも一緒だった。