イジメ返し ~復讐の連鎖・はじまり~


「ふぅ……」


ねぇ、ヒカリ。


今になってヒカリの気持ちがちょっぴりわかった気がするよ。


家族っていったいなんだろうね……。


あたしは……愛してほしかった。


兄だけではなく、あたしも両親に愛してほしかったんだ……。


未練がましい感情を振り切るように、あたしは体を勢いよく壁から下げた。


ドアノブと首に巻きつけられたネクタイがピンッと張り、首に全体重がかかる。


あまりの苦しみに目の前に火花が飛び、目を見開く。


「う……あ……ぁ……」


うめき声と同時に口の端からよだれが流れ落ちる。


足をばたつかせたせいで、首に巻かれているネクタイが更に首に食い込み苦しさが増していく。


首つりは楽だと何かの本で読んだ。


すぐに気を失い、ふわふわと気持ちのいい感覚の後、天国へ行ける。


……――どうして!?



それなのにどうしてこんなに苦しいの……――!!


しばらくすると、頭がぼんやりとしてきた。


体中の力がスーッと抜けていく感覚。


ようやく死が目の前までやってきた。


長い長いこの苦しみも、ようやく終わる……――。
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