イジメ返し ~復讐の連鎖・はじまり~
『すごいね。一人で男子やっつけちゃうなんてカッコいい』
その女子生徒こそ石川愛海だった。
周りのやじ馬は愛海の言葉に驚き、目を丸くしていた。
今まで一度も同じクラスになったことのない愛海はあたしにそっと近づくと、ポケットから取り出したタオルをあたしの手の甲に当てた。
『大丈夫?手から血が出てる。保健室行こうか?』
周りの奴らがあたしのことを冷めた目で見ているのに対して、愛海だけは違った。
あたしを立ち上がらせると、あたしの体を支えながら歩き出す。
あたし達を避けるようにやじ馬達がスーッと道を作る。
それから、あたしの悪口を言う人は誰一人いなくなった。
『ブタゴリラ』というあだ名もいつの間にか消え失せていた。
愛海という友達ができて……――あたしは変われたんだ。