イジメ返し ~復讐の連鎖・はじまり~

ダイエットをすることも過度な過食に走ることもあれ以来なくなった。


クラスのリーダー格である村上拓をボコボコにした時、あたしは気付いた。


ずっとコンプレックスだったこの体も、時には役に立つ。


背が高いのも体重が重いのも声が男のように低くて太いのも一つの個性だ。


人間の一番の恐怖は痛みだ。


痛みを味わった拓はあたしを避けるように生活するようになったし、周りの人間もあたしの機嫌を損ねてしまわないように努力しているように見えた。


それからすぐに拓は『女子に殴られて気絶したダサい奴』と噂され、いつの間にか学校にも来なくなった。


結局、拓はそれから不登校になり、卒業式にも姿を現さなかった。


あいつが今どこで何をしているのか分からないけれど、いい気味だ。


今まであたしを散々バカにしたつけが回ってきたんだ。


それからあたしにとって暴力は当たり前のものになっていった。


一度恐怖を味あわせてしまえばこっちのものだ。


どんな奴だって思うがまま。


中学を卒業してから、愛海と同じ高校に入学し、そこでもまたこの声と容姿を利用してクラスを仕切るメンバーになれた。


もう二度と『ブタゴリラ』と呼ばれる日は訪れない


……――はずだった。



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