イジメ返し ~復讐の連鎖・はじまり~

「愛海ちゃん……――!!」


そこにはミチルが立っていた。


その腕の中には見覚えのある靴を履いた男の子が抱かれている。


「おねー」


シュンの声に涙が溢れた。


よかった……。シュンは無事だった……。


「愛海ちゃん、安心して!!シュン君は無事だから!!」


ミチルが叫ぶ。


安堵したせいで涙がとめどなく溢れた。


「ちょっ……どうして石川の弟をミチルちゃんが……?ねぇ、カンナ。アンタちゃんと倉庫に鍵をかけて閉じ込めておいたの?」


「え~?だって、鍵を閉めたら弟ちゃんが可哀想かなぁって思ってかけなかったの。何か心配になってカンナがさっきミチルちゃんに弟君を倉庫から出して屋上に連れてきてって電話で頼んだの~!」


「は?ちょっと、カンナ、アンタ勝手なことしないでよ!!こういうのは計画通りにやらないと絶対に破たんするの!!」


「え?どうして~?呼んじゃダメだった?」


「あー、もういい。カンナが勝手なことするから台無しじゃない」


新村と西園寺が何やら揉めている。


その隙をついて安全な場所まで移動しようと画策する。


ジリジリと新村に気付かれないように足を動かして移動する。
< 395 / 415 >

この作品をシェア

pagetop