3つ星物語
「じゃ、俺も行こっと」
 
森村くんはさらりと云う。

「は?」

「俺も行く」

「なんで?」

「紗生と一緒にいてみたいから」
 
突然何を言い出すのだろう、この人は――大胆不敵だ。
 
私は戸惑って、するりと彼を交わし、たたたっと駆け出した。

「おい、待てよ」
 
走っても、森村くんは後を追いかけてきた。
 
何なの、このひと……。私は振り返りもせず、一目散に放送室を目指した。
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