3つ星物語
と、アイスクリームの片方を私に差し出す。
 
有り難く受け取ろうとすると、べちゃ、と頬に冷たいものが張り付いた。

「ちょっ……何するのよ」
 
彼がわざとアイスを私のほっぺにくっつけたのだった。

「頬についたソフトクリームを、彼氏が舌で舐めてやる。その定番でもやろうか」

「莫迦」
 
私は彼の物言いにぷんすかと怒り、ポッケからハンカチを出して自分で拭った。
 
彼はそんな私の言動にカカカ、と笑うばかりだった。

「ほら。今度はちゃんとあげるよ」
 
と、彼はアイスを差し出してくれた。
 
私は素直にそれを受け取り、ぺろりと舐めた。
 
甘い。甘くて、懐かしい味がする。

「ソフトクリームなんて、久しぶりだわ」

「俺も。やっぱり遊園地で喰うソフトクリームは旨いな」
 
森村くんは私の隣に座ると、そう言った。
 
こうしてると、カップルみたいで嫌なんですけど。そう言いたくも云えなかった。
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