3つ星物語
森村くんは大の字に寝転んだまま尋ねてきた。

「終わりにした、って何だよ」

「もっと自己主張をするようにしたのよ」

「ふーん」

「素直になることにしたの」
 
よっ、と掛け声をあげて、彼は上半身だけ起こした。そして後ろに両手をついて、大空を仰いだ。

「素直、じゃねーよな、紗生は」

「だから、あんな自分はやめることにした」

「紗生、俺のこと好きだろ」
 
唐突な殊勝な物言いに、私はびくっと体が震えてしまった。

「昨日、保健室から逃げるように帰ったのも、俺が玖生とメールしてたからって、ヤキモチ妬いたんだろ」
 
彼にはお見通しだったのだ。

「私は、玖生が羨ましい」

「うん」
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