3つ星物語
私の入り込んだ質問にも先生はちゃんと答えてくれた。

「今、喧嘩中。別れるかもしれん」

「喧嘩? なんで?」

「些細なことだよ」

「そうですか……」
 
車内に沈黙が流れる。私はこの空間を心地よいと感じていた。

「先生の彼女さん、皆私に似てるって言ってましたよ」
 
熱っぽいせいか、本当に私はダイタンなことを云っていた。まるで自分をアピールしているようではないか。

「似てるかもな」
 
否定するか、怒るかと思いきや、先生はぽつりとそう呟いた。

「あたらしく彼女ができたら、結婚を考えますか? 例えば喧嘩中の彼女がヨリ戻したいとか言ってきたりしたら」

「考えなくは、ない」
 
今日の先生は何だか素直だ。
< 222 / 238 >

この作品をシェア

pagetop