3つ星物語
「解った」

「OK」
 
私と大地は片手を上げて、彼を送り出した。

「ま、ドーナツ食う目的は果たしたからな」
 
満足げに目を三日月にし、彼は手をヒラヒラと振って去って行った。
 
食べ散らかした自分のトレイを片付けることもせずに。ガサツな森村くんらしい。
 
そこで私の作り笑いはぷつんとスイッチが切れた。

「ゆっくり話できるな。ま、話せる範囲でいいから、話しなよ」
 
どうやら大地は私の涙の理由を聞こうとしてくれているようだ。
 
喉の奥が痛くなった。

「ヤダ。私、また泣いちゃうよ」

「周り混んでるから、誰も気にしないよ」

「違くて、大地に迷惑かけちゃう」
 
大地はマグカップに入ったコーヒーをこくん、と飲んで“構わないよ”と笑ってくれた。
 
大地は優しくてあたたかい。
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