3つ星物語
紗生が冷たく言い放つ。
 
私はそこで、彼女らの前にざっと姿を見せた。
 
紗生の相手ふたりは、ぎょっと目を丸くさせた。

「私よ、玖生よ。この間の日曜日、ミスドにいたのは私」
 
長身の女子はひるんで見せたけれど、すぐに応戦体制になった。

「何を……。あんた、姉のこと庇ってんじゃないわよ」
 
長身の子が、目じりをキリリと上げる。

「庇ってんのはそっちでしょ。云いたいことがあるんなら泣いてないで、はっきり言ったらどうなのさ」
 
天パの子ははっと虚をつかれたように瞳を開き、そしてまたハンカチに目を落とし号泣した。

「なによ。喧嘩売る気?」

「売ってないよ。日曜日は南生も紗生も家にいたわ。駅前のミスドにいたのは私よ」

「あんたなの? 北高の……」

「大地でしょ」
 
私が彼の名を口にすると、ふたりはぴくり、と身体を震わせた。
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