3つ星物語
「なんだ?」
 
話が見えないといった風な紗生は、私の顔を覗き込む。

「私、北高の子と3人でミスドにいたのよ。その後ひとり帰っちゃって、大地って子とふたりきりになったの」

「ウソついてんじゃないわよ」
 
ひるまずに長身のキツネが突っ込む。

「あんたが泣くわけないじゃん。ひとの彼氏奪っておいて、紗生も知らん振りしてんじゃないわよ」

「……大地の、彼女なの?」
 
私の問いに、キツネは天パの子に顎をしゃくって見せた。

「私じゃなくて、この子」
 
ふわふわのあたまで、小作りな顔立ちをしている彼女。ひとの前でわんわん泣けるだなんて、弱弱しくて守ってあげたくなるような印象を受けた。
 
この子が、大地の彼女――。
 
なんだ、大地。こんな可愛い彼女、いたんじゃん。
 
女の子女の子してる、私とは真逆の、可愛らしい女の子――。
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