3つ星物語
「本当よ。安心して。私、男の子の友だちはたくさんいるから。大地はそのひとりよ」
 
イチゴの王女様は私の顔をぽーっと見つめ、そして、こくん、と頷いた。
 
そして、長身のキツネに肩を抱かれるかのようにしてゆっくりと去って行った。
 
やれやれ。これだから女は嫌なんだ。
 
男友だちの方が、サッパリキッパリとしていて、楽なもんだ。

「紗生、迷惑かけたね」
 
紗生は腕組みをして、仁王立ちをしていた。いや、と首を横に振る。

「玖生、ミスドで泣いてたの?」

「――見間違いよ」
 
私は大きく伸びをして、紗生に背中を向けた。
 
また、あの時の気持ちを思い出して、涙が出そうになった。

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