3つ星物語
大地に、彼女がいた。
 
とっても可愛らしい女の子。私のこころの中には鉛が乗っかっているかのようだった。
 
別に、大地に彼女がいようがいまいが、関係ないけれど、結局男の子は可愛らしい女の子を好むのだという事実に、何だか嫌悪感を抱いた。大地に裏切られた気さえしていた。
 
現に、男友だちは多いけど、私を恋愛対象として見てくれるひとは皆無だった。
 
別に、彼氏が欲しいってわけじゃないけれど、そこそこの容姿の旬な女子高生の私に誰も手を出してこないというのも、ちょっと悲しいものがあった。
 
求められたところで、それはそれでめんどくさいけれど。私はそんなの望んじゃいない。性別を超えた友だち関係で十分だった。

私が望んでいるのは――伊津くん、ただひとりなのだ。

「コラ、玖生。遅いぞ~」
 
玄関を開け、家へ帰ると、その伊津くんの彼女、南生がお風呂に入る準備の着替えと新しいパジャマを手にしながら立っていて、私を叱った。

「ごめーん。P高校の子の恋バナにのってやっててさあ」
 
男友だちのひとりが、同じ学校に好きな子がいる、という相談にのっていたのだ。
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