3つ星物語
とんとんとん、と階段のステップを上ったところで、何やら音がした。

携帯の着信音だ。私の携帯ではない、優しいディズニーのメロディ。南生の部屋からだった。
 
私は今しがた南生に叱られたことに少しイガイガしていて、覗いてやろう、とためらいもなく南生の部屋に滑り込んだ。
 
相変わらず女の子女の子した部屋だった。
 
ホワイトパールのカーテンに、艶のあるフローリング。ベッドの毛布は淡いクリーム色だ。
 
ベッドの上には大きなうさぎのぬいぐるみが座っていた。いつかのバースデイに伊津くんからもらったものだと南生は大事にしていた。
 
ぺちん、と私は無垢な表情のうさぎのおでこを指で弾いた。
 
無抵抗のうさぎは、ベッドの上にこてん、と倒れた。
 
ふと気がつくと、南生の携帯は勉強机の上においてあった。チカチカと青いランプが点滅している。
 
私は何のためらいもなく、携帯を開き、ぴっぴっと操作してメールを読んでやった。
< 63 / 238 >

この作品をシェア

pagetop