3つ星物語
そこで私の脚はストップモーションがかかった。振り返ると、にこにこと穏やかに笑う伊津くんがいた。

「――え?」
 
本当の名前を呼ばれて、私は思わず振り返る。

「気がついてないと思った? この前も南生ちゃんのフリしてたよね。あはははは。お見通しだよ」
 
伊津くんは片腹を抱えて大笑い。

「あれ……? え? 気づいてたの?」
 
私は思わず出した一歩で立ち止まった。

「うん。君たち3人の見分けはつくよ。ぱっと見は解んないし、何となくだけどね。さっき気づいた。ごめん、黙ってて」
 
私は恥ずかしさで全身がふつふつと沸き立った。

「ごめんは私の方だよ。ごめん。南生のフリしちゃって」

「いいよ。何か魂胆があったんだろ。玖生ちゃんのことだから、好奇心? 僕も玖生ちゃんと一緒で楽しかったよ」

「――ごめん」
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