3つ星物語
いたずらがばれた子どものように、私はしゅんとしてしまった。こんなところで罪悪感が湧き出てきた。

「いいよ、いいよ。それより追いかけなくていいの? 彼」
 
私ははっとして人波を見た。大地の姿は、もう見えなかった。

「追いかける! ほんとにごめんなさい!」
 
申し訳ない気持ち以前に、もっと違う気持ちが芽生えだした。
 
大地――。大地、どこ?
 
私は人の波に一粒の宝石を捜した。太陽に反射して、その背は光って居場所を示してくれた。あんまり離れちゃいなかった。

「大地!」
 
私は勢い良く大地の背中にぶつかった。ふたりしてずでん、と地面に尻もちをつく。

「な……? 玖生?」
 
大地は目をぱちくりとさせた。私は大地の広げた両膝の中に膝立ちをして、大地を抱きしめた。人の目なんて気にやしなかった。

「私、私も大地のことが好き!」
 
抱きしめた大地は、お日様の香りがした。大地の匂い。安心する。とっても、とっても。
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