3つ星物語
このまま浸っていたいのに、大地は私の腕を振り解いた。
 
私は彼に両手首を掴まれる形になった。

「何……オマエ……」

「さっきは、南生のフリしてたの。本当は、玖生なの」

「何で……」

「伊津くんの傍にいたかったの。でも今は……こころの底では違う。あなたの傍にいたいの」
 
ぽろぽろと涙が零れだした。涙が零れるがまま、言葉も零していた。

「あんなことを言われたから、大地が好きって言ったんじゃないの。きっと私も、大地が好きなの」
 
大地は苦笑してみせる。

「なんだよ“きっと”って。……また泣いてぇ」

「だって、好きなんだもん。好きなの、気づいたんだもん――」
 
すると大地は、今度は彼の方から私を抱きしめてくれた。
 
ああ、ここが私の居場所。
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