続・元殺し屋と、殺し屋
声が震えていることが、自分でもわかった。
「ふざけるな…」
「小松くん……?」
「何が小松くんだよ…。
そっか…あーそうか。
知紗はアイツに行ったんだな。
そりゃそうだよな。
俺なんかと付き合えるはずないよな」
殺し屋組織のボスと付き合うには、大きなリスクが必要だ。
殺されそうになることだって何度もあるだろうし、死体に触れる。
いつかは、そのリスクに耐えられなくて自殺した、俺の母親と同じ結末を辿るかもしれない。
だから俺は1度、知紗から離れようとした。
母親と同じ結末を迎えてほしくないから。
でも、知紗は俺といることを選んだ。
死体にも慣れる、と言ってくれた。
…そんな奴、現れるはずない。
そう思って信じていた俺の心を、知紗は簡単に壊したんだ。
だから俺は…知紗のことが好きだったのに。
俺のありのままを受け入れてくれた知紗が。
でももう、それも終わりだ。
一般人に超えられる壁じゃなかったんだ。
知紗は一般人の、
新野を選んだんだ……。