続・元殺し屋と、殺し屋
「泣かないで、知紗」
大地はあたしを抱きしめた。
「辛かったよね…仲の良かった彼氏に殴られて。
やめてって知紗、何度も叫んでいたよ…。
それをおれは、遠くから見ることしか出来なかった。
…ごめん知紗、おれ…知紗のこと好きなのに……」
「ごめんなさい…」
「彼氏については安心して。
今は行方不明だから。
おれが知紗を守るから、おれのこと、信頼して?」
「…大地……」
「夕ご飯を取ってくるよ。待ってて」
パタンッと扉が閉まる。
あたしは再び、ベッドに横になる。
彼氏に暴行されたの…あたし。
何で…忘れたんだろう。
そんなにショックだったんだ…。
大地も、凄く哀しそうな顔していたし。
大地に、悪いことしちゃった。
「知紗、食べよう。
おれの手作りだから、味に保障は出来ないけど」
「ありがと」
良いんだ…過去のことは。
彼氏のことがいくら好きでも、今は大地しかいない。
大地のことを、愛してあげよう。
…過去のことは、忘れて…生きていこう。
冷めたクリームシチューは、
寂しい味がした。