続・元殺し屋と、殺し屋






「しかし知紗と俺は一向に喧嘩しない。
だから次の手段に出た」




次の手段…?




「知紗の記憶から、俺だけ消すことだ。
それによって、別れるだろうと目論んでいたんだろ」




だからチサは恭真の記憶だけ…。




「新野は俺が告白されている間に知紗を連れ出し、何らかの経緯で知紗に薬を飲ませたんだ。

その薬は、家庭より薬を愛した新野の父親が作った薬だ。
睡眠薬が殆どの成分だが、その中に含まれているのは、一部の記憶を消す薬。
それを知紗に飲ませることで、知紗を眠らせ、記憶を消したんだ。

消される記憶の一部は、飲まされた奴が1番大事に思っていたり、印象深い記憶だからな。
知紗にとって忘れたくない記憶ナンバーワンが、俺だったんだ」





薬の成分や効果を当てられ、さっちゃんと大地が驚いている。




「俺が修学旅行の時、レイと紅羽の記憶を消すため飲ませた薬が、それだ。
あの薬は、新野の父親が作った薬だったんだ。
あの時1番知紗にとって印象深い記憶が、学校で見る姿とは異なるレイと紅羽の姿だったんだろうな」




2人にバレないよう、恭真が説明する。

…そう考えるとチサ、同じ薬を2度も飲まされたんだ。

結構話を聞く限り危ない薬なのに…。

恭真曰く、体に害はないみたいだけど。

自分にとって大事な記憶や印象深い記憶が短い間だけど消されるのは、結構辛いことなのに。






< 137 / 308 >

この作品をシェア

pagetop