続・元殺し屋と、殺し屋






チサが、羨ましかった?




「さっちゃん、馬鹿?」



ずっとさっちゃんに向かって言えなかった暴言が、アッサリ出た。




「たった1人にそこまで愛されるチサが羨ましかった?
…何を言っているの?」

「どういう意味よ!」

「大地の存在、何忘れているのよ」

「大地…?」

「大地がここまでやってこれたのって、さっちゃんを一途に愛し続けていたからでしょ?
何で大地の気持ちわかってあげていないのよ。
大地だって一途に、真っ直ぐ、さっちゃんを愛していたじゃない」




さっちゃんはゆっくりと、大地を見る。

大地は涙を流した瞳を、さっちゃんへ向けた。




「おれ…姫が、好きです」

「大地…」

「ずっとずっと…姫が好きです。
姫がいなくちゃおれ…生きていけないほど。
姫におれはずっと…依存しています」

「…ッ」




優しく大地がさっちゃんを抱きしめる。






「……」

「……」




結局さっちゃんは、周りばかり見ていて、1番近くで愛を囁き、1番近くでさっちゃんを愛していた、大地の愛に気が付かなかったんだ。

へー…なるほどなるほど……。






何そのオチ!

さっちゃん馬鹿なの!?






思わず苦笑いがこぼれた。







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