続・元殺し屋と、殺し屋
「…アハハッ!」
突然、私の首筋に刃物を当てる人が笑った。
先ほどの低い声とは違う、高い声。
多分男だと思うけど…。
この声は、声代わりしていないんじゃないかと疑うほど声が高い。
無邪気に公園で遊ぶ少年のようだ。
「アハハ、面白いね玉置さん。
普通は怖がると思うのに!
さすが、元世界一の殺し屋だねェ」
私の後ろにいるから、顔は見えないけど。
楽しそうに口元が綻んでいることは、見なくてもわかる。
てかこの人、私が元世界一の殺し屋・ダークだって、知っている。
つまり、過去の私と会ったことがある人…?
でも私、この声の人に、会ったことない……。
「私のこと、知っているんですね」
思えば澪鵺も、予め復讐相手である私のことを調べていた。
この人も私のことを調べたのかもしれない。
特に焦らず、余裕を見せる口ぶりで、私は話す。
「勿論!
僕も殺し屋だからね。
ダークのことは、皆知っているよ?
それに、ロンリネスであった…神崎澪鵺のこともね?」
澪鵺のことも調べ済みか。
つまり、そこそこ出来る殺し屋かな?
まぁ、殺し屋ランキングで最下位スレスレの殺し屋が、元でも世界一の殺し屋に近づくはずない。
この人のランキングは、最低でも10位以内だ。
そうじゃないと勝てる相手じゃないこと、わかるはずだから。