続・元殺し屋と、殺し屋






バルシーが喉を鳴らして笑う。

癖なのか、それともわざとなのか。




「見えないから信じたい、だと?」




「ええ。
確かに信頼も仲間も愛情も友情も、目には見えない。
では何故人は人を信じ、人を愛するか。
…見えないものを信じたいからよ。

正銘は出来ないわ。
見えないからこそ不安定で、脆い。
でも、見方を変えれば、見えないからこそ強くて、誰にも負けない。

見えないから、見たいから、人は人を信じ、愛するのよ」






こう言う私だけど。

殺し屋をしていた時は、こんなこと思ってなかった。

花菜に会い、知紗に会い、恭真に会い、総司に会い。

澪鵺に会い、恋をしたから。

私は変われたんだ。

殺し屋じゃない、玉置紅羽になれたんだ。





「アーッハハハハハハ!」




再び高い声に戻ったバルシーが笑う。




「面白いねェ玉置さん。
僕、玉置さんのこと、気に入っちゃったかもォ」

「ありがと」

「…アハ、お礼言われちゃった」




先ほどの低い声は信じられないほど、笑うバルシー。

温度差がありすぎて、不安定すぎる。

何を起こすか、全く読めない……。






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