続・元殺し屋と、殺し屋
「じゃ、お手合わせの日を楽しみにしているね?」
首筋から刃先が離れた。
振り向こうとすると、再び当てられ、振り向けなくなった。
「僕のことは本番まで秘密にしておいて。
サプライズだから。
サプライズって、僕大好き。
楽しみ感が増すでしょォ?」
ウキウキした口調。
幼い部分があるところを見ると、幼少期に何かあったのかな?
大体殺し屋は、幼少期の経験が影響してくることがあるから。
「そーだ!
神崎くんと小松くんに伝言、頼んでも良い?」
「何?」
「本番まで、僕に絶対関わらないで?
僕の計画を阻止することは許さない。
もし計画を阻止することがあったら、君たちを僕が地獄の底まで堕としてあげるってネ」
スッ…と刃先が離れて行く。
急いで振り向いた。
しかしそこには、誰もいなかった。
準備室の扉が開け放たれており、パタパタと逃げて行く足音が聞こえる。
…逃げられた。
逃げ足の速い奴だな。
危険な殺し屋…バルシー。
幼い子どものような高い声と、
この世の全てを憎んでいると思えるほど低い声を、
分けて話す…予測不可能な人。
誰なんだろ…。
何故私や澪鵺、恭真のことまで知っているの?
私や澪鵺は調べれば出てくるだろうけど。
恭真はボスだから、そう簡単には出て来ない。
私は見たことのないバルシーと言う敵に、
どう立ち向かおうか、立ちつくしながら考えていた。