続・元殺し屋と、殺し屋
「だから、紅羽は月宮に近づくな。わかったな?」
「うん…」
私が頷いたところで、授業終了を知らせるチャイムが鳴った。
「紅羽は先に戻ってろ」
「何で?澪鵺も一緒に行こうよ」
「俺は発行書を貰いに保健室行くから。
次は移動だから、早く戻れ」
澪鵺は踵を返し、屋上を出て行った。
この学校では保健室でのサボリ防止のため、保健室に行った人間には“保健室に行った証”として、発行書をもらうことになる。
その発行書は保健室の先生にしか出せないため、わざわざ澪鵺は貰いに行くそうだ。
快楽殺人者に近い危険な殺し屋…バルシー。
その正体は…月宮銀くん……。
証拠はないけど…。
バルシーが月宮くんとは、どうしても思えないけど…。
何されるかわからないから…。
とりあえず、澪鵺の言う通り、近づかないようにしよう。
澪鵺や恭真に危害を加えることは、私が許さないんだから。
私は曇り空を睨みながら、そう決意した。
さぁ、授業に戻ろう。
皆心配しちゃうよね。