続・元殺し屋と、殺し屋
「もう1回」
神崎が指を鳴らす。
「(ほら、これリイナのだろ)」
「(あ、ありがとう、トウマくん)」
ズイッと半ば乱暴にペンを渡してくる、総司(トウマ)。
その顔つきは少々怖い。
…早く女であるカナから離れたいんだろうな……。
そう思うと、少し寂しくなる。
「んんん……」
納得していない神崎の顔。
隣で助監督の紅羽が焦っている。
ちなみに知紗と恭真は照明役。
教室で練習しているので、今はただ見学している。
「…まぁ、良いだろ」
神崎の渋々オッケーの後、総司がホッとしているのが目に見えている。
…何だかその顔にもショックを受ける……。
暫くし、何回もストップが入ったため、その日の練習は終わりを告げた。