続・元殺し屋と、殺し屋
「そんなの気にしていたら、送るとか言わないし」
だよね…。
「オレのことより、オレは花菜の方が心配。
花菜小さいんだからさ、降りる駅で出られないとかなったら大変でしょ。
だったら、オレが来た方が良いと思うけど?」
確かに前、人が多すぎて降りれなくて、隣の駅まで行ってしまったことがあった。
話したこと…覚えていたんだ……。
「反論はある?」
「ないっ」
「じゃ、大人しくオレに掴まってな」
「え?」と思った瞬間。
グラリと電車が揺れた。
ブレーキがかかったみたいだ。
倒れそうになったカナの腕を、総司はグイッと引っ張る。
揺れた瞬間総司は吊革に掴まっていたので、総司自身は倒れそうにならなかったのだ。
「あ…ありがと……」
「もう少しで降りるんだろ?」
「うん…」
「なら、このまま掴まって良いよ」
「…大丈夫?」
「あと少しなら、平気だから」
総司はニコッと笑う。
総司が笑うの見たの…久しぶり……。
最近、笑っていなかったから…。
前は…付き合いたての頃は、ニコニコ太陽のように笑っていたのに。
その笑顔に、カナは何度も救われたのに…。
もしかして…
カナが総司の笑顔、消しちゃったのかな…。