続・元殺し屋と、殺し屋
「氷くん?
早くしないとお味噌汁冷めちゃうよ?」
「あ、ありがとう」
陽詩から催促を受け、僕はテーブルにつく。
しかしまぁ、幸せだなぁ。
家事が全く出来ない、主夫が遠い存在だった僕なのに。
こんなに美味しいご飯が食べれて、部屋が綺麗なのは。
全て、陽詩のお蔭だな。
お味噌汁を飲みながら、改めて幸せに浸った。
「そういえば氷くん。
クレちゃんとレイくん、何の用だったの?」
「ん?
あぁ、近々文化祭をやるみたいなんだよ。
それで、チケットを届けに来てくれたんだ」
「チケット?
文化祭なのに、チケットが必要なの?」
「紅羽たちの高校はセキュリティが厳しいからね。
変な人が入らないよう、入場券が必要なんだ」
「そうなんだー。
あたしが高校生の頃は、もっと緩かったのに。
変わっちゃったね、高校も」
陽詩、オバサンみたいな発言はやめなさい。
「あたしもそれ、行って良いのかな?」
「陽詩と一緒にどうぞ、と言っていたよ」
「本当に!?
じゃ、その日は空けておこうっと」
嬉しそうに陽詩は鼻歌を口ずさみ始めた。
その幸せそうな顔を見て、僕はチケットをくれた紅羽と澪鵺に、感謝をした。