続・元殺し屋と、殺し屋
僕はパンフレットを閉じ、劇を見た。
うわ…上手い。
2人とも素人のはずなのに。
かなり高度な演技術を見せている。
感心する僕の隣で、陽詩が何故か首を傾げていた。
「どうしたの?」
他の観客の迷惑にならないよう、出来る限り声を潜めた。
「やっぱり、総司くん演技にぎこちなさあるなぁって」
「…いくら相手が花菜ちゃんでも、花菜ちゃんも女の子だしね」
総司くんにも、少しは恐怖心あるのだろうか?
劇はいよいよクライマックス。
王道な展開で、花菜ちゃんが1人舞台の上で泣いている。
…ハンカチが少し、ヨレヨレに見えた。
きっとあれ、本気で泣いているみたい。
きっと何か…あったのだろうか?
「(リイナッ!)」
右側から、総司くん扮するトウマが走ってくる。
そしてそのまま、抱きしめた。