続・元殺し屋と、殺し屋
「そういえばあたし、かっちゃんのご両親に会ったことないな」
かっちゃんとは、花菜ちゃんのこと。
もう少し良いあだ名はつけられなかったのだろうか?
そういえば陽詩は、
総司くんをソウくん、
花菜ちゃんをかっちゃん、
恭真くんをキョウくん、
知紗ちゃんをちっちゃん、
紅羽をクレちゃん、
澪鵺のことをレイくんと呼ぶ。
男子3人は良いとしても。
…ネーミングセンスが悪いのかもしれない。
「花菜ちゃんのご両親は、仕事を口実に帰ってこないみたいだよ」
まぁ花菜ちゃんはそのお蔭なのか家事は得意だし、良い仲間に囲まれているから、いつも幸せそうに笑っている。
もしかしたら、あんまり気にしていないのかもしれない。
「…そーなんだ。
仕事を口実にだなんて、言い訳だよ。
きっと長い間会っていなかったから、どんなこと話して良いかわからないだけなんだよ。
…会えるうちに、会った方が良いと思うのに……」
…陽詩は兄であり僕の恩人である陽也とは、会ったことがない。
陽詩が物心つく前にご両親が離婚し、陽也が亡くなるまで、陽也の存在はお母さんから聞かされていただけだった。
……陽也のことを、思いだしているのだろうか?
僕はそっと、
陽詩の手を、離さないよう握った。