続・元殺し屋と、殺し屋
★文化祭3日目
☆☆☆
次の日。
陽詩は昨日僕が言った通り、スマホを持ってきた。
ちゃんと充電済みだ。
「大丈夫なの?殺し屋来ても」
人通りの少ない体育館裏で、陽詩が聞いてくる。
何故人通りの少ない場所を選んだかと言うと、理由は簡単。
殺し屋なんて物騒なワードを人通りの多い場所でなんて言えないからだ。
「普通は大丈夫じゃないけどね。
陽詩は僕の傍、離れないで」
一応ポケットに護身用のナイフを仕舞っておいたけど。
殺し屋としての実力がないから、僕は情報屋として幹部の地位にいるんだ。
僕なんかが1人で戦っても意味はないだろうけど。
持たないより、マシだろうと願いたい。
「わかった……」
陽詩は心配そうに頷いた。
そんな陽詩の手を、僕は握る。
「氷くん……」
「僕がいるから。大丈夫、安心して」
大丈夫、安心して。
僕自身にも、そう言い聞かせた。