続・元殺し屋と、殺し屋






すぐさまブラックキャットにバルシーが現れたことを伝えた。

そこで僕は、恭真くんが殺し屋数人を一般人に紛れ込ませているのを聞いた。

でも見る限り、殺し屋らしきお客さんはいない。

誰しも表情に恐怖が混ざっていて、殺し屋と言う雰囲気はない。

恐怖と言う名の表情に染まっていないのは、紅羽・澪鵺・バルシーのみ。





だと、思っていた。






違う。

“彼”が、恐怖心を浮かべていない。

僕は遠くから紅羽たちを見ている“彼”を見た。

その眼差しは冷たいけど。

…目元と口元が、微かに歪んでいた。

予測出来ていた?“彼”には。

じゃあ“彼”は、バルシーの仲間?




そこまで考えて、わかった。

先ほど恭真くんが、劇が始まる前僕の所に来た。





『紅羽から頼まれたんです。
氷さんに調べてほしいと言っていました』

『紅羽が?』

『はい。
氷さん、月宮銀について調べてもらえますか?』

『月宮銀……?』



聞いたことがない名前だ。




『俺らのクラスメイトです。
紅羽が言うには、ソイツがバルシーと関係あるんじゃないかって。
俺も意味は分からないんですけど、今はもう藁にも縋る思いで……』

『…わかった。調べてみよう。
恭真くん、この学校、コピー機使える所あるかな?』

『図書室なら自由に使えるはずです。案内します』




図書室に着き、僕はリュックサックの中に仕舞われているノートパソコンを取り出し、まずは学校のパソコンにハッキングした。

その後は区役所のパソコンにハッキングした。






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