続・元殺し屋と、殺し屋
そこで判明した。
月宮銀の双子の弟・銀色のことが。
しかし月宮銀色は事故で亡くなったことになっていた。
後、月宮銀の母親が、離婚後再婚したことも。
まぁ再婚しても正式な縁組はしていないみたいだから、名字は実の父親の姓である月宮のままだった。
母親は姓を再婚相手に変えていると言うのに。
弟と同じ名字である月宮を、彼は気に入っていたのかもしれないな。
…まぁ、勝手な僕の予想だけど。
僕は情報をコピーした。
コピー機のある場所に案内してもらったのも、このせいだ。
『わかりました、ありがとうございます。
俺から紅羽に渡しておきますね』
『役に立ったかわからないけど…』
『いえ、これで良いと思います。
…なるほど、バルシーは月宮銀色か』
『恭真くん、何を言っているの?
月宮銀色は、事故で亡くなっているはずだよ。
死亡届も出されているし』
『そんなの簡単に偽造できますよ。
例えば…そうですね。
ある人を死んだことにします。
本当に死んだ人の顔を整形して、そのある人の顔にするんです。
そうしたら、ある人は死んだことになりますよね?
…まぁ、俺の予想ですけど』
……さすが殺し屋組織のボス。
怖いこと考えるじゃん。
恭真くんはふっと笑い、図書室を出て行った。
『怖いこと考えるのね、キョウくん』
『小さい頃から殺し屋の世界が当たり前の子ですからね。
血飛沫とかそういうの、慣れたものなんですよ……』
“彼”は、月宮銀だ。
だから笑っているんだ。
弟だと、わかっているのかもしれない。
双子はそういうのがたまにあるらしいから。
超能力って言うの?
双子だけが通じる秘密のテレパシーみたいなの。
双子は仲良いのは良いけど、良すぎると大変だ。
澪鵺と妹のレンナちゃんが良い例だ。
レンナちゃんは澪鵺を愛しすぎるあまり、澪鵺との居場所をなくそうとした親戚や、澪鵺に近づいた女を殺していったから。
レンナちゃんにとっては、一種の愛情表現だったんだろうね。
澪鵺もそんなレンナちゃんの愛を受け止めていたから。
レンナちゃんを殺した紅羽に、殺し屋になってまで復讐しようと決めたんだから。
本当、双子って怖いよね。
普通にしていれば、別に良いものなんだろうけど。