続・元殺し屋と、殺し屋
「お茶とか出してあげたいんだけど、ちょっと今台所使えないんだ」
台所?
台所は、もっと酷い。
包丁などの刃物や野菜、果物、調味料と思われる粉末が散らばっている。
「ごめんねこんな状態で」
「いえ…。
あたしたちも、突然訪問してしまいましたから…」
「それは気にしないで。
総司のこと心配してくれたんでしょ?」
総太さんの前だから、慣れない“あたし”を使う。
「あの…総太さん……」
「これ、誰がやったんだ…って聞きたいの?」
「何でわかったんですか?」
「僕、女の子の気持ちはわかるからね」
そう。
総司と違って真面目そうな雰囲気のお兄さんだけど。
かなりの女好き。
家に女の子を呼びパーティーすることも少なくないそうだ。
ちなみに女性恐怖症の総司はその間、部屋に閉じこもっているらしい。
これだけ聞くと悪いお兄さんだけど、かなり総司のことを大事に思っている、優しいお兄さんだ。
普段は会社の寮に入っているけど、たまに総司が心配で遊びに来るそうだ。
総司が太陽のような優しい笑みを持てるのは、
お兄さんのお蔭だと言っても、過言ではないだろう。