続・元殺し屋と、殺し屋
気になって、パイプ椅子から立ちあがり、監督である神崎の元へ向かう。
「神崎」
「何だ?」
「抱きしめあうシーンとかどうするの?」
「…さっき、ボクも総司に聞いた」
「何だって?」
「無視された」
「は?」
「だからボクもどうなるかわからない。
総司に任せようと思ってる。
総司と相島の演技に合わせるよう、他のスタッフとかにも言った。
だから相島、総司に合わせろ」
そんな…突然すぎるよ……。
「ボクや紅羽、恭真や逢沢も聞きに行ったんだけど、無視された。
しかも不機嫌そうなオーラ漂っているから、聞くに聞けない」
元殺し屋や元ヤンキーを聞けなくするほどのオーラ…。
総司も、ただ者じゃない。
「総司のこと、花菜だけは信じてあげて?」
「紅羽…?」
「リイナも、トウマが女嫌いって知りながらも、花菜みたいに諦めなかったじゃない?
最終的にはトウマも、リイナだけは信じるようになるじゃない?
リイナのように、花菜も総司の気持ちを変えてあげなよ」
「…うん」
リイナは…カナ。
リイナの台詞には、何か所も共感できる部分があった。
リイナの台詞に乗せて。
…総司へ、届け。