続・元殺し屋と、殺し屋
「おれ、当時気が弱くて、いつも何かに怯えてた。
ある時、おれ…クラスの男子に絡まれてさ。
ソイツらは背も高くて喧嘩に強くて。
おれなんかが、勝てるはずなかった。
そんな時、マウスが助けてくれたんだ。
元々マウスの存在は知っていたんだけどおれ、ヤンキーグループだから良い印象とかなくて、むしろ悪い印象ばかりあった。
でも、マウスはそこら辺のヤンキーグループとは違う。
人のためになれるヤンキーたちの集まりだった。
そんなマウスをまとめていたのが、知紗だよね。
だからおれ、知紗に憧れて同じ高校に進学したんだ」
チサを追って…?
あまりにも真っ直ぐな大地に、チサはただただ我が目を疑うばかりだった。
「同じ高校に入ったのは良いけど、おれは知紗に話しかけられなかった。
その上知紗には彼氏がいるって聞いて、何度も諦めようとした。
でも…おれが知紗に憧れ、知紗が好きな気持ちが抑えられなくて…。
思わず告白した」
「ごめん」と謝る大地。
チサは首を振った。
「良いんだよ大地。
ありがとう、あたしを好きになってくれて」
「知紗にそう言ってもらえると嬉しいな」
ニコッと微笑む大地は、恭真とは違う優しさがあって。
恭真には悪いけど…今日のデートはなかなか楽しかった。
でも、チサは恭真が良い。
「大地、ありがとう。
あたしを好きになってくれて、ありがとう」
「おれこそありがとう。
知紗とデートで来て嬉しかった。
…でさ、またお願いがあるんだけど」
控えめに大地は切り出す。