Ｓpise・Ｌove〜私が歩いた道〜

愛し方

あの事件が起きてから…何もかもが変わった気がした。

学校でのみんなの態度や、近所の目…こんな目にはもう慣れているから大丈夫。

でも、一番大きく変わったのは美優の心だった。

そのお陰で美優は、前より幸せになった気分だった。




"斎藤"…
例え大好きなお母さんを殺した人だったとしても、私のお父さんだった。

そんな人を美優はずっと恨んで、憎んできた。でも、もうそんな気持ちはこれっぽっちもない。

もちろん、お母さんを殺したのは、許せない。絶対に許せない。




だけど、お父さんにも何かあったんだと思った。前の美優みたいに、心の余裕なんてなくて、闇ばかりだった頃。そんな時、支えてくれたのは家族だった。

でも、お父さんにはいなかった。支えてくれる人が。

お父さんにも支えてくれる人が居たならば…あんな結果にはならなかったのかもしれない。





そう思ったら、お父さんも美優と同じなんだ。って。可哀想な人なのかもしれない。

もし…

もし何とかだったら…そうに言葉を並べて言ったら、何個も当てはまる言葉が出てくる。



きっとお父さんも…愛が欲しかったのかもしれない。