Spise・Love〜私が歩いた道〜
明美おばさんが、リビングのドアを開いた。
さっきまで賑やかだったリビングが一瞬で静まる。
やっぱり間違いだったのかも、またそう思った。この静まりようは…?変な汗をかいてしまいそう。
「美優ちゃんよ。」
にっこりと明美おばさんは、美優に微笑んで言った。
「美優ちゃん、いらっしゃい。」
食卓についてお酒を飲んで居るおじさんは、そう言って、おばさんみたいな、優しい笑顔を美優にしてくれた。
「美優ちゃんは、ここの席ね。今ご飯持ってくるから、待っててね。」
おばさんに指された席にそっと座る。親近感があるおばさんがキッチンに行ってしまって、気まずくなる。
美優の前には二人の男の子が座って、チラチラ美優に顔を向けた。
この子達が慶太と竜なのかな?第一印象は、"綺麗に整った顔立ち"だった。
この兄弟は、美優が来た理由を知っているかな?
「はい。いっぱい食べてね。」
お茶碗にいっぱい持ったご飯が、ホクホクと湯気をたてる。
まともにご飯を食べるのは久しぶりだった。
自分の立場も忘れて、無我夢中でご飯にありつく。
おばさん達は皆ビックリして、そして、にこやかに笑ってくれた。
「いっぱい食べなさい。」
そう言って。