Spise・Love〜私が歩いた道〜
「ちょっとどいて?」
聞き覚えのある声が、女子の群れから聞こえてくる。
「…竜!?」
「あぁ。」
ダルそうに女子の群れから出てきた竜は、
"紛れもなく神様!"
って感じで、
"助けに来てくれた!"
って思っている美優をよそに…。
また女の子達は口々に、
「え?呼び捨て?」
「なんで?」
「ショック!」
「もしかして、二股かよ」
言いたい事を言いたいだけ言っている。あの…聞こえてますよ?みたいな。
でも、陰で言われるよりマシだから、それはそれで良いと思った。
「美優、帰ろ?」
竜は当たり前の様な顔をして言ったけど、この状況からして…
助けてくれたのか、ややこしくしただけなのか?
分からないけど、とりあえず助かった。
だけど、竜は空気を読める人。普通だったらそんな事は言わない。
「うん?。」
女の子の視線を気にしつつ、教室を後にした。
さては…竜、面白がってるな?多分、美優の考えは当たっていたと思う。
だって竜は教室から出た後、肩を振るわせて笑っていたから…。