Spise・Love〜私が歩いた道〜
「はっ!?何が?竜も結構モテるんだよな。こいつのどこがいいんだか?」
竜に話をふって、さっぱり分からんって感じで首を傾げる慶太。
「お前もな。」
竜が反撃に出る。
美優はこの兄弟喧嘩が好き。
だって、幸せを間近で感じられるから。
だから、いつも楽しそうに見ていると、2人は美優の視線に気づいて喧嘩を放棄してしまう。
だから今日はできるだけ普通の顔…普通のかお…
「美優、お前また楽しんでるだろ!」
竜には素早く気づかれてしまう。どうしてこんなに早く気づかれてしまうんだろう?
もしかして…360度視界があるとか!?
んー。でもとにかく残念。
「あきらさまにそんな顔すんな!」
「はーい。」
でも、さっきの喧嘩の途中というか、ジャレ合いをしはじめた。
美優はそれを見て、笑って、楽しんでいた。こんな幸せな日々が待っているなんて、思いもしなかった。
だから、美優にとってこの時間は最高だったのかもしれない。
美優は、蹴って何度か転がしていた石を今度はおもいっきり蹴った。
勢いに乗った石は、田んぼに入って"ポチャン"と水音をたてた。