Spise・Love〜私が歩いた道〜

"ワンワン!"

後ろに振り向くと、そこには少し痩せた子犬が美優に向かって一生懸命吠えていた。

その子犬は、所々毛が無くて、人間の手によって剃られた跡の様にも見える。




美優は片手をその子犬の前に差し出してみた。
子犬は、臭いを嗅いで、ガブっと美優の指さきを噛んだ。

「大丈夫だよ。大丈夫だよ。」
何回も美優は子犬に呼び掛けて、手を差しのべる。
子犬は安心したように、ペロペロと美優の手を舐め始めた。




子犬をよく見ると、数日間ご飯を何も食べて居なそうで、骨が見える位に痩せ細い。
毛が剃られている所は赤身が出ていて、傷がある場所もある。毛並みはバラバラで、いかにも誰かが切ったって感じだ。




こんなような犬やネコを美優は、テレビで見たことがあった。

人間のストレス解消や、欲望など、身勝手な行動で、虐待を受ける動物。
中には舌を切られたり、お腹を引き裂いて殺されてしまう動物もいた。
この子犬は、その中の動物なのだろう。

逃げて来たのかな?
よく頑張ったね。

美優は優しくその子犬を撫でてみた。

気持ちよさそうに、子犬は目を細めた。

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